気の弱い友へ

 このブログは、気が弱くて、体力がなくて、いじめられて悲しい思いをしている人のために書き始めました。

 私は、子供の頃は虚弱児で、小学校から中学1年まで、いじめられてオドオドした神経質な子供でした。毎日漫画を描いて、将来は漫画家になることを夢みていました。

 しかし、小学校五年生の時に、柔道の達人の木村正彦の「柔道教室」という本に出会い、一人で独学で稽古を初めて、中学2年生の時にいつのまにか強くなっていた体験をして、自分に自信を持つことができるようになり、そこから運命が変わり、その後人間の身体に興味が湧き、医者になりました。

 その体験を通して、私と同じように、気が弱くて、体力がなくて、いじめられて悲しい思いをしている人に、一人で独学でも武道を通して変わることができることを伝えたくなりました。

 しかし、柔道は本来二人で組み合って行う武道で、一人稽古は補助に過ぎません。私はたまたま一人稽古の成果を試す機会に恵まれて、自分を変え運命を変えることができましたが、このような幸運に頼らず、一人でその効果を体験できる武道を探してきました。

 縁があって、沖縄の古い空手を伝える先生から一対一で学ぶ機会に恵まれ、本来の琉球の唐手は一人で型を繰り返し深めるものだとわかりました。そこで、沖縄の古い唐手の首里手系の基本型であるナイハンチ初段の型を一万回行ってみることを決心しました。何故なら、その頃の私は五十近い年齢で、空手全体を習得することは無理と考え、せめてナイハンチ初段の型だけでもマスターしたいと考えたからです。1万回とは、1日1回ナイハンチ初段の型を行うと、30年近くかかる計算です。1日10回行うと3年で達成することになりますが、雨の日も風の日も毎日欠かさず行うのは困難で、1万回を達成するのに5年かかりました。その後、先生は亡くなられました。

 7千回程行った頃より、自分は自分であるという心の安定ができてきました。心の自分軸ができてきたということです。

 1万回達成した後からは、六十歳近くになり、身体が激しい動きについていけなくなり、ナイハンチ初段の型を、力を入れずゆっくり行うことにしました。現在1万5千回近く行ってみて、ナイハンチ初段の型がどのような身体操作を行うものなのかが分かってきました。それは、動的な体幹の安定を目指す動きでした。(詳しくは後日改めて説明します。)

 沖縄の古い空手の言葉で、「ガマクを入れる」とか「ムチミを使う」とか「チンクチをかける」とかの表現は体幹の操作法を表す言葉と思われます。

 動的な体幹の安定ができてくると、心が安定して自分軸ができ、他人からの厳しい言動も、落ち着いて聞き流せるようになるのです。古い琉球の唐手の話を読むと、これこそが、古い琉球の空手が目指したものの一つではないか思うのです。(これも詳しくは後日改めて説明します。)

 そして、これこそが、気が弱くて、体力がなく、いじめられている人が、たった一人で稽古して独習して、自分を変えて、運命を変えることのできる方法ではないかと思い、お伝えしたいと思うのです。

 それでは、次回より、ナイハンチ初段の型の身体操作法を、順番に説明していきたいと思います。独習するには、先にその原理を知って行わないと上手く行かないと思うからです。

 型の身体操作法の説明が終わった後、その心のあり方、特にいじめを受け流していく心のあり方を説明していきます。心の自分軸は、身体の動的安定が得られるようになってからでないと実感できないと思うからです。

 ではまた次回お会いしましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました